メディア

 地域情報マガジン「むしゃなび」に取り上げていただきました。

この日は、洞爺湖湖畔でお話を聞かせていただきました。
留寿都村で活動されている方なのに申し訳ないとおもいつつ…。
でも、実は彼女にはぴったりのロケーションだったと思った取材となりました。
地域おこし協力隊で留寿都村に
荒川量子(かずこ)さんは札幌ご出身。
高校卒業後、進学等で札幌を出てからは千葉県に長らく住んでいらっしゃいました。
その後、お子様お二人とともに留寿都村の地域おこし協力隊として2020年に北海道に戻って来られました。

いえ。
「北海道に戻って来た」という表現は、もしかしたら適切ではないかもしれない…というのが、今回のストーリー展開となります。

『るる』での一コマ。 子どもたちは、そこにあるものを自由に使いながら思い思いの発想で遊びます。





「そろそろ、都会を離れたい。」

東北の大震災以降、都会に住みにくさを感じはじめ、生活を見直したいと考え始めていた量子さん。

「自然に恵まれた環境で豊かに生活をしたい。」
そう思っていた時に目に飛び込んできた募集が、“留寿都村の教育委員会(社会教育)所属の地域おこし協力隊でした。




『るる』での冬のアイスクリーム作り体験


そもそも量子さんは教育分野にとても興味がありました。
それというのも、千葉県での活動が背景にあるからです。
つまり、採用された後の活動イメージを量子さんは既にお持ちでした。

「千葉県在住時は、小学校特別支援学級のサポートや、『自主保育』活動をしていました。プレーパーク活動をしていた方とも接点があり、野外活動にも興味があったので自然体験指導者とのつながりもありました。」

と、そんなバックボーンを持つ量子さんは続けてこんな話しをしてくださいました。
「子どもに対しても、大人に対しても、「こうであらねばならぬ」という考えを押し付けるのは違うと思っています。こう言われたからとそうするではなく、「自分はどう思うのか?」「自分はどうしたいのか?」を考えて、どちらに転んでも全て自分の責任だと自覚をもって行動できるように、相互に自立をしたいと思っています。そして、大人も子どもも縦ではなく、横で、1対1の人間同士の関係つくりを理想としています。ゆくゆくは、お互いが地域や北海道(あるいはもっと広く)に還元できるようになっていけたら嬉しいです。」
ここで、耳慣れない二つの用語について簡単に説明しますね。

自主保育とは〜

就学前の子どもたちを、特に自然の中で遊ばせたいと考える保護者主導の保育の取り組み。
地域の公園はもちろん森・海・河川敷など自然の中を中心に、時には屋内において活動をする。生まれてから小学校就学までの子どもたちの生活や成長の場を、保護者たちの手で地域の中に作り、保育士や教諭に全面的に頼るのではなく、保護者たちが協力し合いながら、家族以外の子どもたちも我が子と一緒に見守りつつ、ひとりひとりの個性を尊重し生きる力を育んでいくことを目的とする。また時に、地域の人の協力も得ながら子どもも大人も育っていく。そのような活動のこと。

プレーパークとは〜

「冒険遊び場」とも呼ばれ、土・水・火・木など様々な要素がある空間のこと。「自分の責任で自由に遊ぶ」ということをモットーに、子どもたちの好奇心や欲求を大切にし、やりたいことをできる限り実現できるように、ある程度大人が見守る体制が整った中で子どもの自由度と責任感を大切にする場。

量子さんは、過去の活動経験から得たアイディアを豊富にお持ちで、バイタリティーもあり、決断力と行動力もあるので、人口1900人足らずの村ではとても頼りにされています。

もちろん、その期待に添う様に、数々の活動をこなされています。

地域おこし協力隊としてのお仕事は、たとえば〜
  • マリーゴールド染めワークショップ:国道230号線沿の花壇に植えられ、花が終われば捨てられてしまう花を有効に利用したものです。とても美しい黄色に染まります。
  • 制服おさがりプロジェクト






  • 0円マーケット






  • クリスマス飾り作りワークショップ
  • 高齢者向けスマホ講座
  • みんなでつつみこむあたたか村作りプロジェクト
  • その他、イベントというイベントの企画運営などのほか、当然事務仕事も
そして実はもう一つ、量子さんの裏(?)のお顔としてアートセラピー講師としてのご活躍もあります。
↓↓興味がある方はこちら〜

https://arakawa-kazuko.com/art-therapy/

このように超ご多忙な量子さんですが、いま、最も力を入れているのは古民家コミュニティー『るる』での活動です。

古民家コミュニティー『るる』とは







「では、まずはじめに『るる』のお名前の由来を教えていただけますか?」

「『るる』の 『る』 は、一つには留寿都の『る』です。ほかに、『あつまる』『つながる』『ひろがる』の『る』。そして『縷々(るる)』。この言葉には「長くつづく」という意味があります。地域の居場所が長くつづきますように‥の願いが込められています。」
なるほど。
可愛らしい響きのなかに、そんな素敵な意味があったのですね。

さて、現在 『るる』 となっている建物は10年以上誰も住んでいませんでした。
でも、立地はとても良い。
留寿都小学校の裏にあり、敷地も広く、村の中心部。
誰もが訪れやすい場所でした。

ところが老朽化が激しく、誰も見向きもしない建物。
周りの人たちは、直すのは無理だと言いました。

でも、量子さんは諦めませんでした。
関係各所で諸々を調べ、ついに2021年6月に広い庭込みで建物を借りることができました。

クラウドファウンディングで応援金を





留寿都小学校の裏にある地域の居場所・活動拠点『るる』





借りるところまで漕ぎ着けたはよいけれど、そこからが大変でした。
トイレは使えず、壁は危険な状態…。
それに修理費用もない…。

ということで、クラウドファウンディングで資金を集めることにしました。
しかも、中間サイトを用いず、返礼品もなしで、SNSを使い応援を呼びかけたのです。

すると、驚くことに70~80名の協力者が現れ、あっという間に目標額の倍額を集めることができました。
実はその応援者のほとんどが道外の方で、千葉県での各種活動やSNS繋がりとその繋がりの仲間たちだったそうです。
個人的に直接お願いしたわけではなく、皆様が自主的に応援金を振り込んでくださったのだそうです。




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素晴らしいことです。

それは、量子さんの千葉県時代の活動が認められていて、今後も期待されているという紛れもない証です。
見返りを求めることなく、応援してくださった方々も素敵です。
「全員への返礼品はありませんでしたが、留寿都高校の生徒さんが作った野菜が手に入ったので、抽選で何名かに送らせていただきました。寄付していただいたお金は、トイレと壁の修理費に使わせていただき、残りは運営費として使わせていただきます。本当にありがたいことです。」




まずは真っ先にトイレを直しました。






これでひとまず安心。 このトイレがなければ、一番近いところで10分かけてトイレまで走っていかなければなりませんでした。






今年に入り、内壁を直しました。






ブロックが落ちそうになっていた外壁も剥がし〜






こんなに綺麗になりました!





「るる」のミッション

ところで、量子さんの『るる』への想いや考え方はこうでした。
「『るる』のミッションは、“穏やかな繋がりの中で一人ひとりが輝き、お互いを認め、支えあう社会の実現に貢献します”と謳いました。 そのために『るる』にできることとして具体的に掲げた4つのことがあります。
1. 季節のイベント開催
2. 本を読んだり・おしゃべりをしたり思い思いにすごしてもらい、子育ての合間にホッとできる癒しの時間を作る。
3. 赤ちゃんからお年寄りまで多世代交流ができる。
4. やってみたい心を応援し、体験活動をサポートすることで、学び×遊びの場とする。
これら4つを通して、誰でもふらっと気軽に立ち寄ることができる地域の憩いの場=居場所にしたいと考えています。 ひいては『るる』という場だけでなく、ここでの活動や出会いを “きっかけ” に、こうあらねば!ではなく 『みんな違って当たり前』が普通になり、お互いが認め合える世界になれるよう、一人一人が自立して暮らしていけたら幸せだなあと思っています。」









これまでの『るる』の活動は〜
・    親子で草木染め
・    ミモザリースづくり
・    かまくらづくり
・    焚き火
・    焚き火でバームクーヘン
・    外遊び
・    水引きワークショップ
・    マーブリング
etc.バリエーション・アイディア豊富です。

いま、どの分野でも “ 多様性を認め合おう “と言われていますが、スローガンのようにただ叫ぶだけで到達できるほど容易くない世界です。
けれども、『るる』のような ありのままでいられる “ 場 “ があることで、そこで過ごした人たちのマインドが波及していくことを願う量子さんです。



あらためて、さまざまな活動の拠点としての『るる』の役割とは〜
・    多世代交流の場作り
・    誰でもウェルカムの居場所作り
・    地域づくりの場
・    体験活動の提供
・    野外活動のサポート
・    出張ワークショップの受け入れ

千葉時代の経験の積み重ねがあり、ノウハウも多くお持ちだからこそ、『るる』の役割を自覚し、即実践に結びつけることができるのでしょうね。

「さて、色々お話を伺ってきましたが、10年先のご自身がこうありたいというイメージお持ちですか?」

ここまで流れる様にお話をされていた量子さんでしたが、少し間を置いてきっぱりとこうおっしゃいました。
「わたし、旅人になりたいんです。」






ああ…。
そうか…。

筆者には、その不思議な答えが、何故か、すんなり腑に落ちました。

量子さんは風を運ぶ人だったのです。

「わたし、旅人になりたいんです。」

「『るる』の活動も、留寿都村での荒川量子も、ここで出会う人にとっての通過点であってほしいと願っているのです。生意気な話に聞こえてしまうかもしれませんが…。依存関係ではなく、互いが自立し、認め合う、支え合うという共生社会を目指したいです。ですので、その想いは留寿都村にとどまることなく、色々な土地で広げていきたいと考えています。出会った人(子どもも大人も)にそっと寄り添い、見守る人でありたいです。もちろん、留寿都村の拠点としての『るる』は今後も大切にします。『るる』と荒川を通過点にして、ここで出会った人たちも「自分は自分」と精神的に自立して自由に羽ばたいてほしいと願っています。当たり前のことですが、世界には色々なモノがあり、色々なコトがあり、色々なヒトがいます。でも体感しているのはそのほんの一部。自立して自由になって、自分の責任のもとに生き方の選択をして、多様なモノ・ヒト・コトとつながって、心も体も経済的にも豊かになってほしいと心から思います。そうすれば、その豊かさは循環していくと信じているのです。ですから、私自身も自立して自由に羽ばたきたい。だから旅人になります!」
「通過点」という言葉も、「旅人」という言葉もとても共感しました。

自然体で生きる量子さんが纏う風。
10年後、どこか違う空の下で旅人の量子さんに偶然会える気がしました。




洞爺湖にも旅人として伝えにきてくださった量子さんなのでした。





―『るる』 代表 荒川量子 情報―

荒川量子
電話:090-7650-5347
Email:arakawa.chiiki.230@gmail.com
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ホームページ:https://arakawa-kazuko.com/