羊蹄山麓の住民有志が、不要になった中学生、高校生の制服を譲り受け、必要とする人に提供する「おさがりプロジェクト」に取り組んでいる。「制服の購入は経済的に大変」「子どもの成長で今の制服が着られなくなる」などの子育て世帯の声に応えるためで、徐々に利用が広がっている。
中高生の制服は新調すると、学校にもよるが、数万円はかかり、経済的負担を感じる家庭が少なくない。
プロジェクトは、留寿都村で交流スペース「古民家コミュニティるる」を運営する荒川量子さんが、自身が子育て中の立場から発案し、2021年に始めた。昨年からは倶知安町内の母親でつくるボランティア団体「くっちゃん子ども子育て応援し隊 PopkeLab(ポッケラボ)」(松井雅子代表)が加わり、羊蹄山麓全体に活動を広げた。
プロジェクトを知った地域の保護者からの制服の提供が増え、必要とする家庭に提供できたケースが相次いでいるほか、現在も荒川さんとポッケラボで留寿都村、倶知安町、京極町などの中高生男女の制服計十数着の在庫があるという。
荒川さんは「制服を捨てるのは忍びないという人、子どもの進学や成長に伴って制服を必要とする人の思いに応え、人と人とのつながりを大切にしたい」と話す。ポッケラボの松井さんも「地域の人々が支え合うための力になれれば」と活動の普及に意欲を示す。
利用希望者には「るる」のLINEかポッケラボのLINEに「譲りたい」「譲ってほしい」などと書き込んでもらい、調整を進める。制服提供の際は、においに敏感な生徒のため柔軟剤は使わずに、できるだけ事前に洗濯するよう呼びかけている。授受に伴う費用などは個別に相談。問い合わせは荒川さん。